薬剤師が教える抗酸化物質 「リコピン」について
リコピンはトマトに多く含まれる赤い色素で、ビタミンEの100倍という強い抗酸化力があります。また、インスリンの分泌を助けたり、中性脂肪に対抗したりなど・・・様々な嬉しい力があります。
食事の中でも摂取できる栄養素ですから、このページでご紹介している「リコピンを上手く摂取するための3つの方法」を用いて、健康的習慣として上手く取り入れてみて下さい。
リコピンの歴史
リコピンは、βカロテンと同じカロテノイドという天然色素の一種で、トマトの赤い色はこのリコピンの色素です。 リコピンという名前が確立されたのは1903年のことで、それまでにもベリー系のフルーツから赤い色素が採取されたり、トマトから真紅の色素が抽出されたりしたことはありましたが、カロテノイドとの区別がつけられずにリコピンとしてその存在が確立することはありませんでした。 しかし、1903年の研究でトマトから抽出されたリコピンとニンジンから抽出された赤いカロテノイドとの違いが発見されたことで、リコピンという存在が確立されることとなったのです。 しかし、その後もリコピンがどのような働きを持ってどのような効果があるのかは分からず、1980年代になってようやくその抗酸化力や血行促進効果が注目されるようになったのです。
リコピンの作用
リコピンには、抗酸化作用を通じて、動脈硬化などの生活習慣病の原因となる活性酸素を除去する働きがあります。 この抗酸化力は、βカロテンの2倍、ビタミンEの100倍と非常に高いものです。 そのため、ヨーロッパでは「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほどです。 実際にトマトの消費量が多いイタリアやギリシャではがんの発症率が低いのだそうです。 また、リコピンにはインスリンの働きを活性化する働きがあることも分かってきました。インスリンには血液中の糖分を抑える働きがあり、インスリンの働きが悪くなると血糖値が上がり、糖尿病の原因にもなります。リコピンにはこれを防ぐ力があります。 これ以外にもリコピンには中性脂肪に対抗したり、メラニンの生成を抑制して美肌をサポートしたり、「うっかり」を防ぐ力などがあると言われています。
リコピンの摂取方法
リコピンが最も多く含まれているのはやはりトマトですが、その他にもミニトマトやスイカ、ピンクグレープフルーツ、柿、パパイヤ、プラム、ピーマン、ニンジン、サクランボなどにも含まれています。 トマトからリコピンを効率的に摂取するには、3つのコツがあります。 まず一つ目は、油と一緒に摂ることです。 リコピンは脂溶性なので油で調理すると吸収率が高まります。特にオリーブオイルと一緒に摂ると吸収率が特に高くなります。 二つ目は加熱することです。 リコピンは加熱しても壊れないばかりか、加熱することでトマトの細胞膜が壊れ吸収しやすくなるのです。 三つ目は細かく砕いて食べることです。 リコピンはトマトの食物繊維の中に含まれていますが、食物繊維は体内で分解できないためそのまま食べてもリコピンは少量しか吸収できません。 ジューサーにかけたりすりつぶしたりしてトマトの細胞を壊すことでリコピンを吸収しやすくなります。 ぜひ試してみて下さいね。