強くなりがちなタバコによる口臭を防ぐには
「タバコ臭い」というのがどんな臭いなのか分からない、という方はほとんどいないと思います。
そのぐらい喫煙者には明確な「ヤニ臭さ」があり、喫煙室や喫煙する人の自宅・衣類には、臭いが染み付いてしまうものです。
そんな強いタバコの臭いが、口臭にならないはずはありませんよね。
喫煙者で口臭がある人の数は、非喫煙者の場合よりも1.4倍多い、という報告もあります。
同じ喫煙者でも、喫う本数やタバコの種類、習慣などで口臭の強さが違ってきて、言われれば臭うかな?という程度の場合もあれば、強い口臭で周囲の人が常に我慢を強いられている場合もあります。
タバコがなぜ口臭を引き起こすのか、その理由を成分ごとに確認していきます。
タールとニコチン、一酸化炭素が引き起こす臭い
松脂(マツヤニ)を見たことがあるでしょうか。
ネトネトした褐色の液体ですが、これと同様の物質がタバコの「タール」であり、ヤニ臭さの正体です。
喫煙する部屋の壁紙は茶色く変色するものですが、これはタールの付着に拠ります。
当然口腔内でも、タールが歯や舌などにしっかりと付着し、変色を起こして強い口臭となりますし、吸い込んだタールは肺や胃にも付着して臭いを発すると同時に、健康にも有害です。
粘着質のヤニですから、タバコをやめてもすぐに取り除かれるものではありません。
ニコチンは、中枢神経系に作用しタバコへの強い依存を引き起こす原因物質です。
ニコチンを吸い込むと、毛細血管が収縮し血圧上昇が起こります。
こうしてストレスによる緊張時と同じ状態になり、唾液の分泌量が低下して細菌が増加しやすくなって、口臭が強まるのです。
もうひとつのタバコ成分である一酸化炭素も、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンと結びつくことによって酸欠状態を引き起こすため、ドライマウスが起こりがちに。
また、一酸化炭素とニコチンの血流に対するマイナス作用は、歯周病などの口腔内疾患の自然治癒を妨げてしまい、この点からも口臭を強めるリスクが高まります。
ちなみに喫煙者は、非喫煙者の2~9倍も歯周病になりやすいと言われます。
こうしてタバコの各成分は、口中を汚れた状態にし、唾液量・治癒力を低下させることで、タバコ自体の臭いと合わせ、より口臭の強まりやすい状態を作ってしまいます。
タバコによる口臭への対策法
タバコによる口臭をなくすには、もちろん禁煙するのがベストです。
健康にとってもそれが一番ですが、長年の習慣を変えるのは容易なことではなく、どうしても喫煙をやめられない方もいるでしょう。
そのような場合にできる口臭ケアとしては、歯磨き、うがい、水分補給が挙げられますが、やり方によっては逆に口臭を強めてしまうので、ポイントを押さえて行うようにします。
喫煙によって歯だけはでなく歯間も汚れやすく、歯垢がたまりやすくなっています。
歯磨きでは表面だけでなく、フロスや歯間ブラシを使って歯と歯の間もしっかりと磨いてください。
また、口臭を消そうと香りの強い歯磨き粉を使うと、逆に臭いが混ざってしまって悪臭が強まってしまうことがあります。
舌についたヤニを落とそうと、歯ブラシを舌に当ててみたり、歯磨き粉を塗ってみたりするのは刺激が強すぎてNG。
舌を掃除するなら、スポンジやガーゼなどで優しく拭き取ってみてください。
うがいでは、水かぬるま湯、マウスウォッシュを用います。
喫煙による唾液量不足を補うための水分補給も大事ですが、同じ水分だから・・・とコーヒーを飲むのは逆効果です。
タバコとコーヒー、香りが強い者同士で臭いが強まるうえ、コーヒーの利尿作用で逆に唾液量が低下するリスクがあります。
糖分の多い飲み物も避けた方がいいですね。
こまめに少しずつ水分を含み、口の中が乾きにくいように気をつけましょう。